「どこにでもあるケーキ」三角みづ紀 ナナロク社 - ペンギン文庫
十三歳の「わたし」に戻り、綴られた33篇の詩集。ページをめくるごとに三つ編みの俯いた少女、花を探す少女、雨の中佇む少女が往来していた。時折、自分の思春期を思い出し幻想を抱きしめていた。
(ロートの日)
父の傘をささないままざあざあ降る雨のもと校庭をゆっくり歩く
この身体を濾過した水はどこかへいけるだろうかわたしも降る雨になるだろうか
繊細で臆病な三つ編みをポニーテールにした少女の朝の顔が浮かんできた。しまい込んでいた淡く苦い思い出が蘇るような、違和感と向き合う心と体を包み込む本に出合った。
コラム筆者・移動本屋 ペンギン文庫
仙台を拠点に写真や美術、文芸、詩などの新刊書を中心としたラインナップで、 行く先々に合わせて本をセレクトし。 様々な土地で本屋を開く。 土地と土地を紡いで本と本屋の可能性を探す移動式本屋です。
0コメント